活動内容
部会長挨拶
医薬化学部会長
青木 一真(第一三共株式会社)
国嶋崇隆前部会長の後任として2023年4月より日本薬学会・医薬化学部会長を拝命致しました青木一真と申します。何卒、宜しくお願い申し上げます。
ご高承の通り、医薬化学部会は1991年に日本薬学会で最初に発足した部会であり、以来メディシナルケミストリー領域において国内での研究活動の推進・活性化と海外との交流を中心的に担うことを目的として、ユニークな事業や活動を様々に展開して参りました。そのため、本部会は産学からバランスよく参画されている点が大きな特徴であり、現在、製薬企業26社の法人部会員と約1500名の個人部会員を擁しています。部会運営は、法人会員企業とアカデミアから半数ずつ選出された三十数名の部会役員(常任世話人)が協力して担当しています。
本部会では、学術集会、部会誌や国内外の関連学会との交流、更に人材育成事業や表彰など幅広い活動を行っています。中でも、産官学から参加者が集う創薬化学分野で日本最大の学会である「メディシナルケミストリーシンポジウム」は、医薬化学に関する学術の進歩普及、新薬開発研究、創薬基盤の充実強化を目的とした活発な議論がなされ、有意義な学術交流の場となっています。また、産官学の講演者と、学生を中心とした参加者が、合宿形式で創薬化学について語り合う「創薬懇話会」を毎年主催しています。さらに、部会誌「MEDCHEM NEWS(MCN)」を年4回発行し、創薬最前線、創薬トピックスの特集、医薬化学部会賞の研究紹介など、多様な話題や記事を掲載・提供し、非常に好評を博しています。一方、国際交流委員会と協力し、アジア医薬化学連合(AFMC)の支援(AFMCの国際医薬化学シンポジウム:AIMECSの開催)をしています(詳細については本Webサイトをご覧ください)。
産学が協力して人材育成事業を行っています。学(大学)が画運営している「創薬人育成事業」では、創薬研究者を目指す大学生・大学院生に対して、企業研究者が全国規模で講義を展開しています。一方、創薬化学研究の更なる活性化を目指し人材育成の面から貢献するために産(企業研究者)が中心となって設立された「創薬ニューフロンティア検討会」は、学(大学)からの参画者を巻き込む形で発展し、当部会に様々な提案をするに至っています。また、創薬研究者育成事業の一環として、高学年の学部生から大学院生向けの「医薬化学部会パンフレット」も作成しました。創薬の発展に寄与するブレークスルーの内容を含む研究成果をあげた研究者に「医薬化学部会賞」を授与しています。このほか、日本薬学会の「日本薬学会創薬科学賞」の選考支援、「創薬セミナー」の開催支援、日本化学会の医農薬化学ディビジョンとの連携なども行っています。
さて、製薬協会長は2023年の年頭所感にて「今や開発中の新薬の起源の多くはベンチャーであり、アカデミアやベンチャーの支援の強化が日本における創薬エコシステム構築の鍵となる」と述べており、また政府も創薬ベンチャー支援の対象を拡充し、創薬エコシステム構築に対する国家としてのコミットメントを示しています。米国では、ボストン・ケンブリッジ周辺には創薬エコシステムが既に存在しており、メガファーマと大学発ベンチャーやアカデミアが、壁を越えたヒト同士のコミュニティーが形成されています。日本においてもこのような創薬エコシステムを実現し、日本の創薬力を更に高めていくためには、それを支える「人財」が重要です。
本部会の役割は、部会員である先生方や学生の皆様方とともに、化学をベースにした幅広い領域において研究に従事・貢献する「人財」の育成と交流に取り組み、産官学連携による日本の創薬力強化などを通してメディシナルケミストリーの発展に資することと考えます。創薬エコシステムの実効性を高め革新的なイノベーションを世界に届けられるよう、本部会での「人財」育成がその一翼を担えたらと思います。第一線で活躍されている研究者や将来それを希望する学生の皆様のなかで、本部会の趣旨にご賛同いただける方には、是非とも入会をお願い申し上げます。
2023年はコロナ禍が治まりつつある中、第40回メディシナルケミストリーシンポジウムが実に4年ぶりのオンサイト開催予定など、多くの創薬研究者の皆様との対面での交流再開を期待する年となります。新たな時代を拓く日本発の創薬ブレークスルーに一層の期待を込めて、常任世話人会の協力のもと、部会活動の運営に尽力していきたいと存じます。部会員の皆様におかれましては一層のご支援とご協力をお願い申し上げます。
部会の目的
本部会は、独創的医薬の創製を目標に、関連する基礎ならびに応用の分野で研究に携わる部会員の研究発表、知識の交換ならびに部会員相互および国内外関連諸団体との連携の場として、医薬化学に関する学術の進歩普及、新薬開発研究基盤の充実強化をはかり、もって薬学会、製薬関連産業の発展に寄与する。
資料参照
日本薬学会 医薬化学部会 歴代部会長
年度 | 代 | 部会長 | 所属 | |
令和6 | 2024 | 青木 一真 | 第一三共株式会社 | |
令和5 | 2023 | 17 | 青木 一真 | 第一三共株式会社 |
令和4 | 2022 | 国嶋 崇隆 | 金沢大学医薬保健研究域薬学系 | |
令和3 | 2021 | 16 | 国嶋 崇隆 | 金沢大学医薬保健研究域薬学系 |
令和2 | 2020 | 巾下 広 | 小野薬品工業株式会社 | |
令和1 | 2019 | 15 | 巾下 広 | 小野薬品工業株式会社 |
平成30 | 2018 | 高山 廣光 | 千葉大学大学院薬学研究院 | |
平成29 | 2017 | 14 | 高山 廣光 | 千葉大学大学院薬学研究院 |
平成28 | 2016 | 上野 裕明 | 田辺三菱製薬株式会社 | |
平成27 | 2015 | 13 | 上野 裕明 | 田辺三菱製薬株式会社 |
平成26 | 2014 | 宮田 直樹 | 名古屋市立大学大学院薬学研究科 | |
平成25 | 2013 | 12 | 宮田 直樹 | 名古屋市立大学大学院薬学研究科 |
平成24 | 2012 | 近藤 裕郷 | 塩野義製薬株式会社 | |
平成23 | 2011 | 11 | 近藤 裕郷 | 塩野義製薬株式会社 |
平成22 | 2010 | 藤井 信孝 | 京都大学大学院薬学研究科 | |
平成21 | 2009 | 10 | 藤井 信孝 | 京都大学大学院薬学研究科 |
平成20 | 2008 | 高柳 輝夫 | 第一三共株式会社 | |
平成19 | 2007 | 9 | 高柳 輝夫 | 第一三共株式会社 |
平成18 | 2006 | 橋本 俊一 | 北海道大学大学院薬学研究科 | |
平成17 | 2005 | 8 | 橋本 俊一 | 北海道大学大学院薬学研究科 |
平成16 | 2004 | 仲 建彦 | 株式会社武田分析研究所 | |
平成15 | 2003 | 7 | 仲 建彦 | 株式会社武田分析研究所 |
平成14 | 2002 | 杉浦 幸雄 | 京都大学化学研究所 | |
平成13 | 2001 | 6 | 杉浦 幸雄 | 京都大学化学研究所 |
平成12 | 2000 | 小林 利彦 | 日本イーライリリー株式会社 | |
平成11 | 1999 | 5 | 小林 利彦 | 日本イーライリリー株式会社 |
平成10 | 1998 | 池上 四郎 | 帝京大学薬学部 | |
平成9 | 1997 | 4 | 池上 四郎 | 帝京大学薬学部 |
平成8 | 1996 | 中尾 英雄 | ケムテック・ラボ株式会社 | |
平成7 | 1995 | 3 | 中尾 英雄 | ケムテック・ラボ株式会社 |
平成6 | 1994 | 廣部 雅昭 | 東京大学薬学部 | |
平成5 | 1993 | 2 | 廣部 雅昭 | 東京大学薬学部 |
平成4 | 1992 | 永田 亘 | 塩野義製薬株式会社 | |
平成3 | 1991 | 1 | 永田 亘 | 塩野義製薬株式会社 |
創薬ニューフロンティア検討会
2024年度メンバー
所属(50音順) | 氏名 |
アステラス製薬株式会社 | 大貫 圭 |
エーザイ株式会社 | 井上 諭 |
大塚製薬株式会社 | 篠原 俊夫(リーダー) |
小野薬品工業株式会社 | 高井 繁幸(サブリーダー) |
キッセイ薬品工業株式会社 | 清水 和夫 |
協和キリン株式会社 | 小野寺 秀幸 |
塩野義製薬株式会社 | 日下部 兼一 |
住友ファーマ株式会社 | 城 智也 |
武田薬品工業株式会社 | 久保 修 |
田辺三菱製薬株式会社 | 柳 友崇 |
第一三共株式会社 | 山野井 茂雄 |
中外製薬株式会社 | 及川 信宏 |
日本たばこ産業株式会社 | 三浦 智也 |
東北大学大学院生命科学研究科 | 石川 稔 |
千葉大学大学院薬学研究院 | 石川 勇人 |
名古屋大学大学院創薬科学研究科 | 横島 聡 |
大阪大学産業科学研究所 | 鈴木 孝禎 |
和歌山医科大学薬学部 | 相馬 洋平 |
活動の目的と基本方針
- 医薬化学部会の今後の在り方に関して常任世話人会に建設的な提案
- メディシナルケミストリーシンポジウム(MCS)や創薬懇話会などへの話題提供
- 大学で何を学生さんに伝えるべきか企業目線で助言
- 創薬人育成事業や MEDCHEM NEWS また他の部会や学会との連携に関し助言